ののわしについて
ののわしの工房は石川県・能登半島にあります。
青い空と田んぼがどこまでも続くような場所で
季節になるといつの間にか咲いている草花や
自然がつくりだす光景に日々心踊らせています。
植物が好きで、
草花の美しい姿をそのまま和紙に入れ込んだものや、植物の繊維が積み重なってできる和紙をつくっています。
自然を大切にしながら、地域の人の中で育てられ
ののわしは活動してきました。
和紙が空間にあることでほっとする。
そんな和紙を作っていきたいと思っています。
ののわしの特徴
立体的
植物が和紙から飛び出したような立体的な作品です。糊は使わず、和紙に挟まれる形で植物はくっついています。存在感があり、素材感がより強く感じられます。
色鮮やか
和紙に入れた植物の色鮮やかさは特徴的です。摘んだ植物をフレッシュなまま和紙に入れることで色がきれいに出ます。時間とともに少しずつ色褪せますが、移ろう過程もたのしんでいただけます。
特殊な素材
一般的な和紙の原料である楮(こうぞ)に限らず、稲わらや竹、織物の糸など多様な素材を紙にします。 楮ほどの強度はありませんが、それぞれの素材が持つ表情は美しく、唯一無二の紙になります。
和紙ができるまで
1煮る
原料となる楮(こうぞ)、稲わら、竹などをソーダ灰を入れたアルカリ液で煮ます。アルカリ液で煮ることで繊維以外の不純物を取り除きます。
2ごみとり
煮て柔らかくなった原料からゴミやキズの部分をひとつひとつ取り除きます。一番時間のかかる作業ですが、きれいな和紙づくりには大切な工程です。
3叩く
原料を木の棒で叩いて繊維をほぐしていきます。表現したい紙の表情に合わせて叩き具合を変えています。硬い素材のとき(竹など)は機械を使っています。
4紙すき
出来上がった原料と水、ネリと呼ばれる粘液を混ぜ合わせ、紙すきをします。草花入りの和紙はベースとなる紙をすいて、その上に草花を置き、最後に薄い和紙をのせて、一枚の和紙に仕上げています。
5しぼる
何枚も積み重ねた和紙をゆっくりと水をしぼっていきます。ジャッキを用いた圧搾機でしっかりしぼることで、しなやかで強い紙になります。
6乾燥
水がしぼれた和紙を一枚一枚、木の板に貼り付けて乾かします。和紙の厚さや、陽射しの強弱で、紙が浮いてしまうことがあるので、天候を見ながら干す場所を調整します。
大切にしていること
環境にやさしいものづくり
今ある自然や風景がこれからもずっと続いていくように、環境にやさしいものづくりを目指しています。
原料を煮るときに使うアルカリ液は中和してから排水し、強い薬品である苛性ソーダは使わない。
和紙で使う植物も採りすぎず、使い切る。
自然の恩恵をいただいて行う和紙づくりなので、自然に負荷をかけないような作り方を目指しています。
地域に根差した活動
ののわしが和紙をつくれるのは、身近にいる人たちのおかげだと思っています。
地元で活動されている方々からいろんなお仕事をいただき、その仕事をすることで新たなご縁ができ、それがまた和紙づくりに繋がりました。
微力でも地域の人のお役に立てていることが嬉しく、和紙づくりを続ける上で地域の人の輪はとても大切だと思っています。
作家について
松尾 明香
Matsuo Sayaka
1985年石川県生まれ。
幼いころ祖父から手に職をつけろと言われていたことから職人へのあこがれをもつ。
2009年から4年間、和紙デザイナー・堀木エリ子氏のもとで制作スタッフとして従事。
石川県に帰郷後、しばらく和紙から離れるも、やはりつくる仕事がしたく再び和紙の道へ。
2016年から石川県・輪島市にある能登仁行和紙で3年間修業。
2019年独立。紙すき工房ののわしを立ち上げる。